アブストラクト(32巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 一期的食道癌切除再建術後の呼吸循環動態に関する研究 ―術式別にみた手術侵襲との関連性を中心に―
Subtitle : 原著
Authors : 大渓秀夫
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第1外科講座
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 8
Page : 1123-1142
Year/Month : 1984 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道癌術後のガス交換, 循環動態の変動を術式別(一期的切除再建術, バイパス術, 単開腹術), 再建臓器別(胃, 結腸)に観察し, 術後の回復過程に基づく手術侵襲の差異について各群間の比較検討を行い, 併せて食道癌術後肺合併症の成因について考察を加えた. 手術前日より第5病日まで動脈血酸素分圧(PaO2)の経時変動を観察するとともにSwan-Ganzカテーテルを用いて混合静脈血を採取し肺内シャント率を求め, 同時に循環諸量の測定を行った. 一期的切除再建例では術後第2~3病日, バイパス症例では第1~2病日, 単開腹症例では第1病日にそれぞれ呼吸循環動態の変動が最大となり, 手術侵襲による差が認められた. なお, 対照群のうち食道静脈瘤に対する食道離断術施行症例では, 門脈圧亢進症に特有な血行動態がみられた. 食道再建臓器別に胃管使用群と結腸使用群で術後の変動をみると, 結腸使用群では第1病日にも左室機能の低下が認められたが, その後の回復は良好で, 両群の手術侵襲の差による影響は極めてわずかであった. 食道癌術後肺合併症群では, 術後早期より著明な低酸素血症が認められ, 肺合併症発生の要因は術直後より潜在しているものと思われ, 特に循環動態ではover hydrationの状態となっていた. また, 術後肺炎は高齢者に多く, 重篤な経過をたどる症例もあり, 高齢者食道癌の呼吸循環管理は, 特に慎重に行われるべきものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 食道癌術後, 呼吸循環動態, 術式別, 再建臓器別, 手術侵襲
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