Authors : |
榊原哲夫, 広瀬一, 中埜粛, 松田暉, 酒井敬*, 小林亨**, 横田博雅***, 橋本聡一****, 北村惣一郎*****, 川島康生 |
Abstract : |
術後1年以上の追跡が完了したA-Cバイパス症例164例について, その生存率, 遠隔期活動能力, 社会復帰状況及びこれに影響を及ぼす因子について検討した. 1. 全症例の9年生存率は86.5%であった. 血管病変別では, 一枝病変例, 二枝病変例, 三枝病変例, 左冠動脈主幹部病変例の7年生存率はそれぞれ90.5%, 87.0%, 91.2%, 77.0%であった. 安定型狭心症例の7年生存率は93.3%, 不安定型狭心症のそれは70.4%であり, 前者が有意に良好であった. しかし, 1979年以後の症例に限ってみると, その差は消失した. 左室駆出率0.4以上の症例の7年生存率は91.4%, 0.4未満のそれは70.0%で, 前者が有意に良好であったが, 1979年以後の症例では, その差が消失した. 2. 遠隔期活動能力がNYHAI度の症例が占める割合は, 全症例で74%であった. 左冠動脈完全血行再建術成功例, 全グラフト開心例, LADへのグラフト開存例では, それぞれ94%, 93%, 90%であり, 全症例に比べて有意に高値を示した. 3. 遠隔期における社会復帰は80%の症例において可能であり, 停年退職者, 主婦を除くと, その割合は93%であった. 4. 以上の検討より, 病変血管数, 狭心症が安定型か否か, 術前左室駆出率, 冠動脈完全血行再建術の成否, 左前下行枝の血行再建の成否などが遠隔成績に影響を及ぼす重要な因子であることが明らかとなった. |