アブストラクト(32巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 定量的肺シンチグラフィーによる部位別呼吸機能評価 ―低肺機能肺癌患者の切除限界及び術後管理の検討―
Subtitle : 原著
Authors : 原史人, 小西洋, 金藤悟, 山本眞也, 渡辺哲也, 栗田啓, 國方永治, 清水信義, 寺本滋
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 8
Page : 1184-1192
Year/Month : 1984 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺切除術を予定している肺癌患者に対し, 術前に総合呼吸機能検査とtechnetium 99m macroaggregated albumin(以下99mTc-MAA)による肺血流シンチグラフィーを行い, 術後の努力性肺活量(FVC), 1秒量(FEV1.0), 最大換気量(MVV)を予測し, 肺切除後のこれらの実測値と比較した. 対象患者127例を肺葉の切除部位別に分類し, 各切除部位における予測値と実測値を比較したところ, 相関係数0.5838から0.9992と, 部位や測定時期により違いがあったが, 臨床的に応用できる相関が得られた. 全症例中, 術後FEV1.0予測値が1.2l以下の低肺機能症例14例について術後予測値と実測値を比較したところ, FVCとFEV1.0では相関係数が0.7115から0.8196と良く相関した. そこで換気機能から見た手術適応の限界を検討し, 術前予測で術後FEV1.0が0.75l以上が一応の限界という結論を得た. 特に術後FEV1.0が低い症例については, 身長と年齢により計算した予測肺活量に対する術後FEV1.0の比を求めたところ, 30~35%以下の場合は術後一過性の呼吸不全を呈する症例が多かった. 低肺機能肺癌患者の術後経過中, 多くの症例で術後早期に痰の喀出困難が見られた. これらの患者に術前よりincentive spirometryを指導したところ, 換気能力の向上が見られ, 痰の喀出困難の予防が期待できる. 肺癌の原発部位に関わりなく, 非侵襲的な方法で術後呼吸機能予測ができるということは, 肺癌患者にとって手術適応の決定に有用であり, 特に低肺機能患者では, あらかじめ術前から呼吸訓練, 去痰剤投与などの管理や処置により, 術後の合併症の発生を予防できることで重要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 99mTc-MAA肺血流scintigraphy, 術後呼吸機能予測, 肺葉別呼吸機能, 肺切除限界, 低肺機能症例
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