Abstract : |
病期III期までの肺小細胞癌57例を対象にして, 手術例と非手術例の成績を比較し, 肺小細胞癌の手術適応を検討した. 手術例は21例で, 病期はI期11例, II期3例, III期7例であった. 術後の補助療法は1例を除き, すべての症例に多剤併用による化学療法を行った. 一方, 非手術例は36例で, 病期はI期3例, II期5例, III期28例であった. このうち34例が放射線療法と化学療法の併用を, 1例が化学療法単独, 1例が放射線療法単独の治療が行われた. 成績は, 手術例全体の5年生存率が35%, 中間生存期間が23ヵ月であった. しかし予後は病期によって著しく異なり, I期では5年生存率80%を示したが, II期ではすべての症例が1年から2年の間で死亡, III期は術後1年で生存率が50%に低下し, 1例が長期に生存したが4年目で再発死亡した. その他, 腫瘍径, 組織亜型と予後の関係も検討したが, 特に差は認められなかった. 非手術例の成績は, 1年生存50%, 2年27%, 3年16%, 5年12%を示し, 中間生存期間は12ヵ月であった. 病期別ではI+II期の予後が良好で5年生存率46%を示したが, III期では1年で生存率が41%に低下し, 3年は8%となり, 5年以上の生存例はみられなかった. また非手術でも治療に有効である症例の予後が良好で, 完全寛解を示した例の中間生存期間は19ヵ月, 3年生存率は36%, 5年生存率は24%であった. 以上の成績から, 肺小細胞癌で手術適応となる症例はI期例で, II, III期には手術よりも放射線療法と化学療法で完全寛解を得る方が長期生存を期待できる. |