アブストラクト(32巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : In-vitro fibrin preclotting法の基礎的研究, 並びに胸部及び腹部大動脈に対する血行再建への応用
Subtitle : 原著
Authors : 和泉裕一
Authors(kana) :
Organization : 旭川医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 8
Page : 1205-1214
Year/Month : 1984 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : fibrinの特性を応用した人工血管の新しいpreclotting法として, In-vitro fibrin preclotting法を考案し, 基礎的, 臨床的に検討し, 以下の知見が得られた. 1. 基礎的検討:a)in vitroのfibrin形成実験で, fibrinの凝固時間及び抗血栓性は, 加えられたthrombinの量に規定される. b)fibrinは強い親水性を示した. c)人工血管の線維間隙はfibrinにより充填被覆され, その有孔性はほとんど消失する. d)イヌ腹部大動脈移植では, In-vitro fibrin preclottingで処理された人工血管内面が, 血液でpreclottingされた人工血管内面に比べ, 移植早期において高い血液適合性を有することが示唆された. 2. 臨床的検討:大動脈及び大動脈-大腿動脈領域の血行再建47例に使用された人工血管の処理に, In-vitro fibrin preclotting法を応用した. このpreclotting法に起因する血栓, 塞栓及び遅発性出血などの合併症は認められず, 本法により人工血管に完壁な被覆と高い血液適合性が付与されることが裏づけられ, preclotting法として優れていると考えられた. 1981年1月から, 1983年8月まで, 術後経過を観察し得た44例中1例(2.3%)に肝炎の発生が疑われたが, fibrinogen使用との因果関係は明らかでなく, 本法応用に伴う肝炎発生の危険性は低いと考えられた. 結論:In-vitro fibrin preclotting法は, 人工血管の完壁な被覆とともに, 人工血管に高い血液適合性を付与し得る有用なpreclotting法であると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : fibrin, preclotting, 親水性, 血液適合性, porosity
このページの一番上へ