Authors : |
秦紘, 庄村東洋, 福山守, 岡本交二, 薗潤, 岡田行功, 宮本覚, 西内素, 立道清, 吉栖正之 |
Abstract : |
神戸中央市民病院胸部外科では, 1976年9月から1983年3月の間に151例の患者に対して157コのCarpentier-Edwards弁を移植した. その内訳はMVRが103例, AVRが7例, MVR+AVR(但しAVRはBjork弁)が16例, MVR+TAPが9例, MVR+TVRが5例, TVRが3例, MVR+AVR(AVRはBjork弁)+TAPが5例, MVR+TVR+AVPが2例, MVR+AVR(Bjork弁)+TVRが1例であった. 年齢は15歳から65歳平均47.5±9.9歳であった. 対象となった弁疾患は大部分がリューマチ性弁膜症であった. 早期死は14例(9.3%)であり, MVRで10例(9.8%), 多弁手術で4例(10.2%)であった. 死亡原因はLOS10例, 左室破裂3例, 逆行性大動脈解離1例であり, いずれも本弁に関係する原因ではなかった. 遠隔死亡は3例で, 劇症肝炎1例, 肺炎1例, 髄膜炎1例で, 同様に本弁に起因するものではなかった. 耐術例137例の5年生存率は92.5%であり, 5年でのevent-free rateは91.9%であった. 血栓塞栓症は1例(0.38%患者年), 人工弁感染1例(同), paravalvular leakage1例(同)であり, 人工弁感染の1例で再手術を行いBjork弁で再MVRを行った. 術後の抗凝固療法は原則として3ヵ月で中止し, 以後はTiclopidinの投与のみを行っている. NYHA分類による活動能力の回復は, M+T群を除くと術後ほとんどの症例がI度に回復し, M+T群でも57.1%がI度に回復した. 弁尖の自然劣化は最高5年10ヵ月の追跡期間で1例も経験していない. 僧帽弁位での圧較差については, 繁用される29~31mmサイズについ安静時データで検討したが5.6~5.3mmHgの圧較差であった. 以上よりCarpentier-Edwards弁は抗血栓性の点で優れており, 耐久性についても5年までの観察では異常を認めず, 房室弁の代用弁としてすぐれた弁であると結論した. |