アブストラクト(32巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 表面冷却超低体温下開心術症例のCPK及びそのアイソエンザイムの変動に関する研究 ―特に乳幼児, 小児開心術例について―
Subtitle : 原著
Authors : 須田嵩
Authors(kana) :
Organization : 横浜市立大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 9
Page : 1275-1287
Year/Month : 1984 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術中, 術後のMB-CPK値は手術浸襲による心筋傷害の程度及び心筋保護効果判定の指標として利用されてきているが, エーテル深麻酔による表面冷却超低体温法を補助手段とした開心術におけるCPK及びそのアイソエンザイムの体温の変化に伴う経時的な変動については, いまだその詳細な分析はなされていない. 表面冷却超低体温法で行った10歳以下の先天性心疾患症例の術中を中心に各CPKの変動を検索し, 以下の知見を得た. 1. エーテル深麻酔下冷却のみでMM-CPKは経時的に上昇を示し, MB-CPKも上昇傾向にあり, 結果的にTotal-CPKは上昇した. この時期のMB-CPKの上昇傾向は骨格筋に由来すると推測された. 2. 小児では冷却前より既にTotal-CPKが100IU/l以上の高値を示すものがあり, 特に2歳以下の乳幼児症例に顕著であった. 3. MB-CPKは術後4時間で最高値を示した. MB-CPKの最高値と循環遮断時間及び最低温との相関はなかった. 4. 冠循環が停止した状態である表面冷却温低体温法では心室切開群のMB-CPKの最高値の平均は50IU/lで, 心房切開群のそれは21IU/lであり, 心室切開群がより高値を示した. この差は心筋切開部位の相違によるものと考えられ, CPK及びそのアイソエンザイムからみる限り表面冷却超低体温法は心筋保護の目的を達成していると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 表面冷却超低体温法, 乳幼児開心術, Total-CPK, MB-CPK, 心筋保護
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