Authors : |
小林順二郎, 広瀬一, 中埜粛, 松田暉, 榊原哲夫, 佐藤重夫, 平中俊行, 加藤寛, 谷口和博, 川島康生 |
Abstract : |
Holter心電図を用いて, ファロー四徴症根治術後遠隔期症例100例について, 心室性不整脈(VA)を検索し, 更にその発生因子について検討を加えた. 1. Lown 2度以上の有意のVAを41例に認めた. 2. 手術時年齢は有意のVAを認めた症例で平均11.7±10.0(±標準偏差)歳, 認めなかった症例で平均5.5±5.8歳であり, 前者において有意(p<0.001)に高かった. 3. 術後経過年数は有意のVAを認めた症例で平均9.5±4.8年, 認めなかった症例で平均5.5±4.3年であり, 前者において有意(p<0.001)に長かった. 4. 右室左室収縮期圧比が0.6以上の症例は, 有意のVAを認めた21例中では9例(43%)であったのに対し, 認めなかった症例42例中では3例(7%)にすぎず, 前者に有意(p<0.005)に多かった. 5. 右室切開が行われた症例は, 有意のVAを認めた41例中では35例(85%)であったのに対し, 認めなかった症例59例中では30例(51%)であり, 前者に有意(p<0.005)に多かった. 6. 肺動脈弁閉鎖不全, 右脚ブロックと有意のVA発生には相関を認めなかった. 以上により, ファロー四徴症根治術後の心室性不整脈発生防止には, 低年齢の根治手術, 肺動脈狭窄の十分な解除, 右下切開を最小限にとどめることが重要であると考えられた. |