アブストラクト(32巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 縦隔非広範郭清肺癌切除例の予後
Subtitle : 原著
Authors : 谷村繁雄, 友安浩, 伴場次郎, 正木幹雄
Authors(kana) :
Organization : 虎の門病院呼吸器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 9
Page : 1316-1320
Year/Month : 1984 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 現在, 肺癌に対してはen blockな縦隔リンパ節広範郭清を加えた肺切除術が標準術式とされている. 数年前まで, 我々は手術死亡率の増加の可能性や免疫学的な見知から縦隔広範郭清を施行しない方針で治療を行ってきた. 今回, これら非広範郭清肺癌切除例44例を対象にその治療成績を検討し, 縦隔広範郭清の意義について考察を加えた. 対象例の組織型は, 腺癌28例, 扁平上皮癌8例, 大細胞癌8例, clinical-surgicalまでの段階で判定した臨床病期は, T1N0M0 15例(34.1%), T2N0M0 19例(43.2%)でIa期34例(77.3%), Ib期1例, II期3例, III期5例, IV期1例であった. 臨床病期別の治療成績を検討すると, T1N0M0では66.5%, T2N0M0では51.3%, I期35例では56.6%の5年生存率を示し, II期3例では1例が7ヵ月で死亡, 他の2例は5年以上生存, またIII期5例では全例が3年以内に死亡した. 組織型別の5年生存率は, 腺癌53%, 扁平上皮癌46.9%, 大細胞癌37.5%であったが, 統計学的には有意差は認められなかった. 臨床所見及び開胸所見にて判定したI期肺癌に対する縦隔非広範郭清肺切除術の治療成績は, 病理所見を加えたI期肺癌の治療成績と比較してもあまり遜色のないものであった. 従って, 臨床的にT1N0M0と考えられる症例に対して, 一律に縦隔広範郭清を施行する必要があるか否か, 免疫学的検討も含め再検討を要すると思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 縦隔広範郭清, 縦隔非広範郭清, I期肺癌
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