Authors : |
榊原哲夫, 広瀬一, 中埜粛, 松田暉, 白倉良太, 佐藤重夫, 島崎靖久, 河内寛治*, 北村惣一郎*, 川島康生 |
Abstract : |
原著 術前及び術中の心筋梗塞の既往の有無が, 術後運動負荷時の左室機能及び冠状静脈洞血流量(CSF)に及ぼす影響について検討した. 左冠動脈完全血行再建術に成功した13例を対象とした. これを術前術中に心筋梗塞の既往を有する症例6例(G-2)と, それを有しない症例7例(G-1)に分け, その術後心臓カテーテル検査時に50W5分間の運動負荷を施行し, 心機能を示す諸指標と, 冠状静脈洞血流量を測定し, 対照例8例(G-C)と比較検討した. 1. 術後運動負荷時のLVMWは, G-1, G-2, G-Cそれぞれ, 13.2±4.43kg・M/min, 14.9±3.02kg・M/min, 14.0±3.77kg・M/minであり, 3群間に差を認めなかった. 2. 術後運動負荷時のLVEDPは, G-1, G-2, G-Cそれぞれ, 14±2mmHg, 25±4mmHg, 14±2mmHgであり, G-2において, G-1, G-Cに比べ有意に高値を示した(p<0.001, p<0.001). 3. 術後運動負荷時のCSFは, G-1, G-2, G-Cそれぞれ, 368±51ml/min, 342±113ml/min, 309±106ml/minであり, 3群間に差を認めなかった. 以上の検討の結果, 左冠動脈完全血行再建術成功後において, 心筋梗塞既往例の運動負荷時左室仕事量や冠血流量は, 心筋梗塞非既往例及び正常対照例と差を認めなかったが, 運動負荷時拡張機能の低下が残存することが明らかとなった. |