アブストラクト(32巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : A-Cバイパス術後における冠状動脈並びにバイパスグラフトの病変の進行とその病態
Subtitle : 原著
Authors : 水谷哲夫*, 長坂裕二, 平岩卓根, 庄村赤裸, 増田浩一, 湯浅浩*, 草川實*
Authors(kana) :
Organization : 公立豊岡病院心臓血管外科, *三重大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 9
Page : 1362-1368
Year/Month : 1984 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : A-Cバイパス術後における冠状動脈並びにバイパスグラフトの病変の進行について冠状動脈造影像より検討し, 併せて危険因子との関係について述べた. 冠状動脈病変の有意な進行を, 術後1年経過した26例中6例(23%)に, 3年経過した9例中5例(56%)に, 4年経過した4例中2例(50%)に, 6年以上経過した4例中3例(75%)に認めた. これを病変セグメント数より検討すると, 術後1年経過した例では術前に狭窄を認めた97セグメント中10セグメント(10%)で病変が進行しており, 術後3年では23%, 術後4年では26%, 術後6年以上経過した例では53%を示し, 病変進行率は年とともに増大した. 30例に対し40本のバイパスを行い術直後のグラフト開存率は90%であり, 平均5年3ヵ月の遠隔期に36本中2本の閉塞を認め, 遠隔期開存率は85%であった. またバイパス術を受けた冠状動脈では, 末梢側よりも中枢側病変の方が進行し易かった. 一方, 病変が軽度なためバイパス術を受けなかった冠状動脈の有意な進行を7例に認めた. このうち2例は非バイパス枝の完全閉塞を来し心筋梗塞に陥ったが, グラフトが有効に働き死を免がれた. 高トリグリセライド血症, 高コレステロール血症, 高血糖症例では病変が進行し易く, また危険因子を多く持った例ではその傾向が明らかであった. 以上より, A-Cバイパス術後は各種の危険因子をコントロールし, 何らかの虚血サインがみられたならば冠状動脈造影を行って病態を把握し, 治療方針を確立しなければならない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈硬化, 狭窄病変の進行, 術後遠隔成績, グラフト開存率, 危険因子
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