Abstract : |
Hancock弁付きのExtracardiac Conduitを用いてRastelli手術を行った右胸心, 心室中隔欠損, 肺動脈閉鎖を伴う修正大血管転位の小児例が, 7年後, 主としてHancock弁の石灰化による弁機能不全, 及び二次的な右側房室弁閉鎖不全のため心不全を来し, 再手術を行った. Hancock弁の石灰化は著明で, 可動性は失われていた. その所見は他の小児生体弁置換例の弁石灰化と変わらなかった. 一方, 人工血管内のpseudo(neo)intimaの肥厚は著明であり, 且つ人工血管内面との固定が不完全で容易に剥離され, 将来pseudointimaの肥厚や剥離によるconduit狭窄の可能性も推測された. Extracardiac Conduitは種々の小児複雑心奇形に対する有効な手術手段であるが, 内蔵する人工弁としてはむしろ機械弁を用いることが望ましく, 同時に人工血管の材質の検討も必要と思われた. 手術成績の向上が得られてきた. しかしconduitに内蔵する代用弁の種類, あるいはconduitとして用いる人工血管の内径, 材質などの選択はいまだ議論の多いところである. |