Abstract : |
Van Praaghの心大血管区分分析法による{S, D, L}型の解剖学的修正大血管位置異常症を経験した. 本症例は最も重大な合併異常として三尖弁閉鎖を有しており, 他に左側心耳並列, VSD, ASD, PS, Subaortic conus, 右室低形成を伴っていた. 生後3歳1ヵ月, 体重13kg時にバイパス併用超低体温法下に機能的根治術(肺動脈本幹~右房直接端側吻合, ASD閉鎖)を施行して救命せしめた. {S, D, L}型解剖学的修正大血管位置異常に合併した三尖弁閉鎖症例に対する機能的右心バイパス手術施行例は本症例以外には, Fontan手術施行後に死亡した1例のみと思われ, 自験例が成功第1例目と思われるので報告した. Van Praagh1)により命名された解剖学的修正大血管位置異常症(anatomically corrected malposition of great arteries;以下AC-MGAsと略)は内外の報告例が60未満のまれな疾患である2)3). 本症ではVan Praaghの心大血管区分分析法によるところの{S, D, L}型(Cardell BIに相当)が最も多く報告されており(34/54)64%を占めている. |