アブストラクト(32巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 新生児総肺静脈還流異常症(生後23日, 2,800g, cardiac type)の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 入山正, 清水健, 岩波洋, 早瀬修平, 会田博, 渡辺和朗
Authors(kana) :
Organization : 金沢医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 9
Page : 1388-1393
Year/Month : 1984 / 9
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 手術時生後23日, 体重2,800gの総肺静脈還流異常症(cardiac type)の根治手術に成功した. 症例は来院時生後17日の男児で, 直ちに気管内挿管を行い, 人工呼吸器による呼吸管理を行ったが, 心不全, 呼吸不全は悪化傾向を示した. 心カテーテルで肺動脈圧は80/55mmHg(体血圧90/60mmHg)であった. 手術は表面冷却体外循環併用超低体温法により行った. 直腸温18℃で循環遮断とし. 右心房を切開すると. 冠状静脈洞開口部は径5mmと狭小で, 心房間交通も狭小な卵円孔であった. 心房中隔を一部切除し, 冠状静脈洞をcut backして左心房に開くようにしたのち, 心膜を用いて心房中隔を再建した. 循環遮断時間は55分, 体外循環時間は70分であった. 術後経過は良好で, 術後3日目に気管内チューブを抜去できた. 術後40日目に退院した. 術後68日目に心カテーテルを行ったが, 肺動脈圧は30/11(18)mmHgと良好な値を示した. 新生児, 乳幼児期における心臓手術成績は次第に向上しつつあるが, 総肺静脈還流異常症(以下TAPVCと略す)は, 生後早期から強い心不全症状を示して急激な経過をたどることが多く, また根治手術以外に有効な治療法がないこともあって, わが国での外科治療成績は不良である1).
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 総肺静脈還流異常症, 心臓型(cardiac type), 新生児開心術, 超低体温循環遮断法
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