Abstract : |
A-Cバイパス術後残存狭心痛の原因が, グラフトを施行されたnative coronary arteryの攣縮であることを造影上明らかにし得た2症例を報告する. 症例1. 側壁梗塞後, 安静時狭心痛が持続する62歳の男性である. 冠動脈造影上, 左前下行枝(LAD), 第一対角枝に, それぞれ90%の狭窄を認め, 2本のA-Cバイパス術を施行した. 術後6ヵ月目より, 安静時狭心痛出現し, グラフト造影上, グラフトは2本とも開存していたが, エルゴノビン負荷後造影により, LADの攣縮が証明された. 症例2. LADと回旋枝(CX)に, それぞれ75%の狭窄と右冠動脈の完全閉塞を有する49歳の不安定型狭心症例である. LADとCXに2本のA-Cバイパス術を施行した. 術後2年目に安静時狭心痛が出現, 冠動脈造影上2本のグラフトは開存していたが, エルゴノミン負荷後造影により, LADの攣縮が証明された. 虚血性心疾患に対するA-Cバイパス術の狭心痛寛解効果についてはもはや疑を入れないが, A-Cバイパス術後においても, なお30~50%の症例において症状が残存するといわれている1)2). |