アブストラクト(32巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸腺カルチノイドの1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 宮本正樹, 森田耕一郎, 中野秀麿, 江里健輔, 毛利平
Authors(kana) :
Organization : 山口大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 9
Page : 1412-1416
Year/Month : 1984 / 9
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸腺カルチノイドはまれな疾患で, しばしば, 胸腺上皮由来の胸腺腫と誤診されてきた. 本邦で28例の報告例を集計したが, このうち7例はACTH産生胸腺腫と報告されていた. 我々は最近胸腺カルチノイドの1例を経験したので報告する. 症例は55歳男子で, 半年間の前胸部圧迫感を主訴に受診し, 胸部X線写真で前縦隔腫瘍を疑われて当科へ紹介された. 左開胸で, 遺残胸腺下極に9×8×5cm大の被膜に覆われた腫瘍を認め, 完全に摘出した. 病理組織学的に, 好銀性顆粒を有する小型細胞の増生があり, 電子顕微鏡で140~210nmの神経分泌顆粒を認めたので, カルチノイドと診断された. 術後5-FU 100mg/日の化学療法を施行し, 6ヵ月の現在, 経過は良好である. 1907年にOberndorferによりカルチノイドの名称が提起されて以来, この概念は拡大あるいは修正され, 近年には原腸由来臓器に存在する内分泌細胞よりの腫瘍である1)と考えられるようになった. 一方Pearseら2)はカルチノイドをapudoma3)の1つとしてとらえ, 発生部位に無関係に組織形態により, 広範な“carcinoid”apudomaなる概念を提起した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腺, 胸腺カルチノイド, 神経分泌顆粒, APUD細胞
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