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安井久喬, 古森正隆, 吉利用和, 富永隆治, 川内義人, 砂川博史*, 上野安孝, 安藤廣美, 窪山泉, 徳永皓一 |
| Abstract ： |
先天性心疾患外科治療において高頻度に合併する右脚ブロック(RBBB)の右室機能に与える影響を, 犬の正常心(A群15頭), 仔犬時肺動脈絞扼術により作製した中等度右室肥大心(B-1群7頭), 高度右室肥大心(B-2群11頭)を用いて検討した. RBBBにより右室心内諸現象の時相は大きく変化した. その主なものは右室, 左室収縮のasynchronismを起こす右室Q-upstroke intervalの著明な延長(三群平均26→63msec, p<0.001)と右室収縮時間の著しい短縮(207→171msec, p<0.001)で, これらがRBBBによる右室機能低下の主要機序をつかさどると思われる. RBBBにより右室拡張末期圧はB-2群で著明に(4.4→9.8mmHg, p<0.001), B-1群で軽度に(2.1→3.8mmHg, p<0.01)上昇したが, A群では有意な変化を示さなかった. 右室圧peak dp/dtはB-2群で著減したが(1036→827mmHg, p<0.001), B-1群, A群では有意の変化を示さなかった. しかし, 各群において, RBBBによる右室圧peak dp/dtの減少率とRBBBのQRS幅の大きさの間に正の相関が認められた(A, B-2群p<0.01, B-1群p<0.05). 心拍出量はA群, B-1群では有意の変化を示さなかったが, B-2群で有意に減少した(6.5→5.8ml, p<0.005). 右室収縮期圧は三群とも変化を示さなかった. 以上の所見はRBBBによる右室機能の低下をそしてその低下程度がRBBBのQRS幅の大きさと, 右室肥大並びに右室後負荷の強さに相関することを示していると考えられる. 従って右室肥大を伴う先天性心疾患においてRBBBは重要な手術合併症であり, 慎重な術中回避の努力が要求されると思われる. |
