アブストラクト(32巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁狭窄症再手術例の術後遠隔成績
Subtitle : 原著
Authors : 佐藤重夫, 広瀬一, 中埜粛, 松田暉, 白倉良太, 島崎靖久, 中田精三, 安達盛次, 榊原哲夫, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 10
Page : 1747-1754
Year/Month : 1984 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和47年から昭和56年6月までに, 僧帽弁狭窄症(MS)に対し施行した再手術例41例の術後遠隔成績, 並びにそれに影響する因子について検討した. 1)再手術群の僧帽弁弁性状はType II(Sellors II)44%, Type III(Sellors III)49%, Type IV(cuspal type)7%で, Type I(Sellors I)は見られなかった. そこで同期間にMSに対して施行した初回手術のうちType Iを除いた186例を対照群とした. 再手術群は対照群に比しType IIが少なく(p<0.005), Type IIIが多く(p<0.01), 弁の形態的変化はより高度であった. 2)再手術群の三尖弁閉鎖不全合併率は37%で, 対照群の11%に比し高頻度(p<0.005)であった. 3)術前臨床症状は両群間に差は見られなかったが, 術後遠隔期ではNYHAI度は再手術群45%で対照群68%に比し少なく(p<0.01), NYHA II度は再手術群53%で対照群29%に比し多く(p<0.01), 再手術群の術後臨床症状の改善度は対照群に比べ劣った. 4)再手術群の術前心胸郭比は対照群に比し大きく(p<0.05), 術後遠隔期においても同様(p<0.05)であった. 5)術後遠隔期血行動態検査を再手術群12例に行い, 対照群8例と比較検討した. 術後安静時及び運動負荷時の再手術群の肺動脈平均圧は, 対照群に比し高値(各々p<0.05)を示した. 一方左房平均圧は術後安静時及び運動負荷時両群間に差は認められなかった. 従って再手術群の肺動脈平均圧が高値を示すのは, 術後安静時及び運動負荷時肺血管抵抗が対照群より高値(各々p<0.05)を示すことによると考えられた. 以上より再手術群の術後遠隔期臨床症状改善度が対照群に比べ劣るのは, 心胸郭比増大の一因となる三尖弁閉鎖不全の合併や, その発生にも関係すると思われる肺血管病変の進行によると結論づけられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁狭窄症, 再手術, 遠隔成績, 肺血管抵抗
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