アブストラクト(32巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後肝障害の検討 ―うっ血性肝障害における開心術後肝障害発症因子の検討と対策について―
Subtitle : 原著
Authors : 野垣英逸
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 10
Page : 1762-1774
Year/Month : 1984 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : うっ血性肝障害34症例に対し, 術前の肝障害の程度, 総輸血量, 体外循環時間及び術後早期の循環動態などと術後肝障害を比較し, その発症因子を検索し, 対策を検討した. 術前Hpt及びICG R maxは術後総ビリルビン(TB)最高値と相関し(r=-0.55, p<0.05;r=-0.41, p<0.05). 50g GTTによる糖尿病型及び境界型群では術後コリンエステラーゼ最低値が正常型群より低かった(p<0.05). 総輸血量は術後TB最高値及びLDH最高値と相関した(r=0.40, p<0.01;r=0.46, p<0.01). 体外循環時間は術後TB最高値, GOT最高値及びLDH最高値と相関した(r=0.68, p<0.01;r=0.53, p<0.01;r=0.64, p<0.01). 術後早期の(Ao-CVP)・CIは術後GPT最高値及びLDH最高値と相関した(r=-0.53, p<0.01;r=-0.43, p<0.05). 術後TB最高値≧5mg/dl群とTB最高値<5mg/dl群とを比較すると術前Hpt, ICG Rmax, 50g GTTの反応型及び体外循環時間には両群間で差はなく, 総輸血量及び術後早期の(Ao-CVP)・CIに有意差が認められた(p<0.01;p<0.01). 術後GPT最高値≧100IU群とGPT最高値<100IU群とを比較すると, 術前Hpt, ICG Rmax, 50g GTTの反応型, 総輸血量及び体外循環時間には両群間で差はなく, 術後早期の(Ao-CVP)・CIに有意差が認められた(p<0.05). 以上から, うっ血性肝障害ではほとんどの症例が十分肝機能予備力を持っており, 開心術に耐え得ると考えられる. 術後肝障害の予防として最も肝要なことは肝血流量を十分に保ち, 肝アノキシアをさけることであり, そのためには極力心機能を低下させないための努力をすることであると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : うっ血性肝障害, 肝機能予備力, 開心術後肝血行動態, 術後急性肝不全, 血漿交換
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