アブストラクト(32巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環中の血小板保護に関するProstaglandin I2の実験的検討
Subtitle : 原著
Authors : 長田博昭, 川田忠典, 保尊正幸, 舟木成樹, 荒瀬一巳, 正木久朗, 平泰彦, 桑原幹夫, 野口輝彦
Authors(kana) :
Organization : 聖マリアンナ医科大学第3外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 10
Page : 1795-1803
Year/Month : 1984 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体外循環中の血小板保護はなお重要な課題である. 我々は先にProstaglandin E1の保護効果を調べて報告したが, 十分満足できる結果は得られなかった. 今回, 血小板機能抑制作用が更に強力で半減期の短いProstaglandin I2すなわちProstacyclin(以下PGI2)の血小板保護効果を実験的に検討したので報告する. 雑種成犬12頭をシート式気泡肺を含む回路に接続しveno-arterial modeで常温のまま2時間の完全体外循環を行った. 実験群6頭には循環開始前10分間にPGI2 100mcgを静注し, 循環開始とともにPGI2を500~700ng/kg/minのレートで脱血路に持続点滴投与し, 他の6頭は対照群とした. 血小板数は循環1時間の時点で実験群, 対照群各々循環前値の70.3%, 53.3%で, 実験台が有意に高く(p<0.02), 血小板凝集能は実験群が循環中常に11%程度を示したのに対照群は30%前後で, 有意の抑制(p<0.01)が見られた. 各測定点で採取したサンプルの一部を常温下に60分間放置してから凝集能を測定すると実験群では循環前値の55%前後の回復が見られ, PGI2が循環中の血小板凝集能を可逆的に抑制していることが確認できた. なお, 補助実験としてPGI2の投与量を上記の主実験群と異にして凝集能を点検したところ, 少量では凝集能が異常に, また持続的に亢進し, 多量では逆に著しく抑制されることを見た. PGI2は500~700ng/kg/minの持続投与で犬の体外循環中, 血小板凝集能を可逆的に抑制し, 体外循環1時間ころまで血小板数の減少を有意に防止する. この成績は他の研究者の報告にほぼ一致する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Prostaglandin I2, Prostacyclin, Platelet Preservation, Extracorporeal Circulation
このページの一番上へ