Authors : |
松倉裕美, 竹田治土, 合田俊宏, 鵜沢茂樹, 立木利一, 松波己, 酒井圭輔, 川上敏晃, 田辺達三, 村松宰* |
Abstract : |
開心術補助手段である体外循環の改善は手術の安全性を高めてきたが, 複雑で長時間の操作を必要とする手術例の増加を考えると, より一層の改善が必要となる. 我々はポリプロピレンホロファイバー型肺の実験的検討により, 本肺の性能が優れていることを報告してきたが, 今回臨床応用を開始し, 従来頻用されている気泡型肺に比べ種々利点を有し, 体外循環の安全性を高め得るとの結果を得たので報告する. ポリプロピレンホロファイバー型肺はハードシェル気泡型肺に比べ, (1)同じくone pump systemで臨床応用可能, (2)充填量が少なく, (3)使用血液節減効果が大きく, (4)溶血が少なく, (5)酸素加能に優れ, (6)灌流操作が容易で, 閉鎖循環灌流が可能となり, (7)体外循環中好気性代謝を保ち, (8)糖代謝抑制が軽度であった. (9)全末梢血管抵抗の上昇を抑制し, (10)腎機能保護作用のある可能性も示され, (11)これらのことから, より高度の低体温灌流及び高度希釈も可能となった. (12)但し, 炭酸ガス排泄のためには混合ガス供給装置を用い, F1O2 0.5, ガス血流量比を1とした方が安全と考えられた. |