アブストラクト(32巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Bjork-Shiley弁による僧帽弁置換術後14ヵ月目にminor strut fractureにより急死した1例
Subtitle : 症例
Authors : 佐藤禎二, 秦敬和, 渡辺直, 吉岡行雄, 都筑康夫
Authors(kana) :
Organization : 府中医王病院心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 10
Page : 1844-1849
Year/Month : 1984 / 10
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Bjork-Shiley弁(以下BS弁)は1969年, 初めて世に送り出されて以来全世界で, 13万個以上植え込まれており, 傾斜disc弁の中で, 現在最も繁用されている. その理由は, 血液の流れが中心流に近く, 圧較差の少ないこと, 更に血栓形成の少ないことがあげられる. しかし, 実際には血流の大部分はmajor orficeを通過し, 血流の少ないminor orfice には流れの遅延のため, 血栓が起きやすいとされている. そのため, 1980年のモデルチェンジでdiscの開放角を大きくした1)(convexo-concave disc以下C-C弁). BS社の説明によるとこれにより血流の均等化がある程度なされたが, このモデルチェンジの欠点も見いだされた. すなわちmajor and minor strutにかかる内部圧力が異常に増加し, strut fractureの危険性が増したというのである. 1982年5月, BS社から出された緊急回収に関するreport2)によると, 1980年5月以後に製造されたBS弁(C-C弁)は, その幾つかがstrut fractureの危険があるため, 回収してくれとのことである(既に植え込まれたものはそのままで良い). 我々は1981年10月, 54歳男性に僧帽弁置換手術(以下MVR), (BS弁C-C弁29M)を施行した. 患者は術後数日の意識混濁を伴ったものの, 以後順調に回復し, 社会復帰した. にもかかわらず術後14ヵ月(1982年12月), minor strut fractureにより急死した. この痛ましい悲劇を二度と繰り返さぬよう当症例を供覧し, 対策を考え併せて傾斜disc弁破損に関する文献的考察を行った.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : major and minor strut, strut fracture, disc, ring, convexo-concave disc
このページの一番上へ