アブストラクト(32巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : DNA動態による心筋保護法の検討
Subtitle : 原著
Authors : 小山信彌
Authors(kana) :
Organization : 東邦大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 11
Page : 1910-1918
Year/Month : 1984 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術中の心筋保護効果の判定法として, 細胞生物学的観点に立ちこれを検討した. 実験群は以下の4群に分けた. I群:体外循環下常温にて大動脈遮断, II群:体外循環下軽度低体温(直腸温29℃~31℃)下に大動脈遮断, III群:II群に心筋保護液として4℃GIK液を使用し心筋温を15℃前後として大動脈遮断, IV群:III群に心停止液として最初にYoung氏液を使用しGIK液を併用し大動脈遮断, 以上の各群について, 経時的に右房・右室心筋の生検を行い, Feulgen反応を利用し, Micro-spectrophotometerにてDNA量を定量し, 以下の結果を得た. 1. 各条件下での細胞核DNA値は有意な動態を示し(p<0.01~0.0001), DNA合成能の検討は, 術中心筋保護効果を判定するのに有用であると思われた. 2. このDNAの有意な増加は心筋細胞自体の防御機構“myocardial resistance”に基づくものと思われた. 3. DNA動態よりみて. 大動脈遮断中の心筋保護液としてのGIK液は細胞機能をよく維持していた. 4. III群とIV群の比較において, IV群の方が変化幅は有意に少なく(p<0.01~0.001)よりよい心筋保護であったが, Young氏液注入後controlより低値を示した. これは心停止液が迅速な心停止と心筋温の均等な低下に有利である反面, 高カリウム液により生命維持としての細胞機能低下を示唆するものかもしれない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋保護, GIK液, DNA, DNA動態, 心停止液
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