Abstract : |
弁膜症28例及びASD・VSDの先天性心疾患8例の計36例を対象として, 疾患・術式別に, 術前, 術後3, 6, 12, 24, 48時間, 1, 2週間, 1ヵ月の9時点にわたり, 心エコー法にて経時的に左心機能の推移を検討した. また術前に, 臥位エルゴメーターによる運動負荷心エコー法にて左心機能予備力の評価を行い, 術後LOSとの関連について検討し以下の結果を得た. 1. 術後早期の心エコー法と熱希釈法によるCIは, y=0.82x+0.46, r=0.73の直線相関がみられ, 心エコー法は開心術後早期左心機能を評価する上でも有用であった. 2. MR, AR群では, 術前にみられた逆流による左室のexcess strokeは, 弁置換術後3時間の時点で既に, 逆流の消失により著明に改善された. 3. 弁膜症群では, 左心機能はポンプ機能・心筋機能とも, 術後6~12時間にて最低値を示す傾向にあった. ASD・VSD群では術後早期でもよく温存されていた. 4. 弁膜症例に関し, 術前状態及び安静時心機能には, LOS群, 非LOS群間に有意差がみられなかったが, 術前左心機能予備力はLOS群が非LOS群より有意に低下していた. 5. 術前左心機能予備力の指標として, %ΔSI≧0, %ΔCI≧15, %ΔEF≧5, %ΔFS≧5, %ΔMSER≧15, %ΔmVcf≧30, %ΔPWV≧35を満たすものに各1点, 未満のものに各0点の計7点満点のscoringを行った. 2点以下の者は術後LOSに陥る可能性が高く(85.7%), 3点以上の者は術中因子に問題のない限り, LOSを免れ得る可能性の高い(94.1%, p<0.002)ことが判明した. 本法は術後LOS発生のpredictorとして有用であると考えられた. |