アブストラクト(32巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 人工心肺内残留血液の濃縮・再利用に関する研究 ―Cell Saver及びハローファイバー型人工腎臓の比較―
Subtitle : 原著
Authors : 野上厚志
Authors(kana) :
Organization : 川崎医科大学胸部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 11
Page : 1962-1969
Year/Month : 1984 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 成人開心術施行40例に対して, 体外循環終了後, 人工心肺内残留血液をCell Saverを使用した例及び, ハローファイバー型人工腎臓を用いたExtra-Corporeal-Ultrafiltration-Method(以下ECUMと略)により濃縮・再利用した例の両者を比較検討した. 両者ともに濃縮血の赤血球数及びヘマトクリット値の上昇は著明であったが, Cell Saverによる濃縮では血小板, 血清アルブミン, フィブリノーゲンなど血漿成分は減少し, ECUMによる濃縮では, これらは増加した反面, 遊離ヘモグロビンも著明に上昇した. 一方, 血液充填例では体外循環終了時, 赤血球のpoiculocytesが多数出現し, 更に無血充填例に比し遊離ヘモグロビンの高値, 血清ハプトグロビン値の低下も認められた. 血清電解質には, 大きな変化は認められなかった. 人工心肺内残留血液の濃縮・再利用により, 術後の同種血必要量は, Cell Saver使用群664±571ml, ECUM施行群571±604mlと, 対照群1,666±720mlに比し著明に減少し, 無輸血症例数も増加したが, それぞれの方法には一長一短があり, 症例によって濃縮法の選択が必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 人工心肺内残留血液, Cell Saver, ECUM, 遊離ヘモグロビン, 血液像
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