アブストラクト(32巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 全身多発性塞栓を来し, 正常冠動脈像を呈した左室瘤の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 永井晃, 上山武史, 宮崎幹也, 明元克司, 山本恵一
Authors(kana) :
Organization : 富山医科薬科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 11
Page : 2008-2012
Year/Month : 1984 / 11
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 正常冠動脈像を呈した左室瘤症例に対し, 多発性動脈塞栓を来したため左室瘤切除術を行ったので報告する. 症例は52歳男性で, 心筋梗塞発作の既応はなく, 右下肢激痛を訴えて入院した. その後の検索で右下肢動脈塞栓, 及び腎臓, 脳に多発性梗塞を生じていた. 左室造影では, 前壁から心尖部, 後壁にかけ大きな左室瘤を形成しており, 駆出率は38%であった. 冠動脈造影では正常冠動脈像を呈していた. これに対し左室瘤切除術を施行した. 瘤内には拡張した肉柱の間に絡むようにして2~3個の小さな赤色血栓が見られ, 容易に剥脱可能であった. 術後経過良好で, 塞栓の再発はみていない. 最近正常冠動脈像を呈する心筋梗塞症の報告が増えており, また左室瘤の手術適応に関しても塞栓症は意外な程少なく, これらの成因に関して文献的に考察した. 左室瘤の多くは心筋梗塞後の合併症として発生するものであり, その大部分は冠動脈の狭窄や閉塞を伴っている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左室瘤, 正常冠動脈像, 多発性動脈塞栓, 無症状性梗塞, 左室瘤切除術
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