アブストラクト(32巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 遠心ポンプを用いた体外循環の臨床経験
Subtitle : 原著
Authors : 薦田烈, 村上泰治, 納所実, 野村修一, 川上俊爾, 名和清人, 妹尾嘉昌, 寺本滋
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 12
Page : 2031-2040
Year/Month : 1984 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 遠心ポンプ(Bio-Pump)を用いた体外循環を5頭の雑種成犬で行い, 次いで, 33例の開心術例に用いて, 血行動態及び血液成分への影響について検討した. なお, 臨床例33例中弁置換例13例については, ローラーポンプ使用群との比較も行った. 臨床例では, 灌流量は1.0L/min~5.0L/minで, 体血管抵抗の著明な上昇もなく, 体外循環中の尿量も十分得られていた. また, 灌流量, 体血管抵抗, 尿量に関して, ローラーポンプ使用群との比較においても差異を認めなかった. 溶血に関しては, 体外循環中, 血漿遊離ヘモグロビンは漸増し, その増加率(Δfree Hb)は, 動物実験例で10.8mg/dl/hr, 臨床例で39.2mg/dl/hrであり, 臨床例での高値は吸引・輸血などの影響も考えられる. ローラーポンプ使用群との比較では, Δfree Hbに関しては有意差はないが, 体外循環開始後の早期には, 遠心ポンプ使用群の方が遊離ヘモグロビン値は低値をとっており, これはローラーポンプに比べて遠心ポンプでは溶血が起こりにくいことを示しているとも考えられる. 血小板数, フィブリノーゲンへの影響は, ローラーポンプ使用群と大差なかった. 遠心ポンプは, 従来のローラーポンプを用いた体外循環の送血ポンプとして十分代替可能であり, 更に, 臨床的に補助循環の送血ポンプとしての使用も期待できよう.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 遠心ポンプ, 体外循環, 血行動態, 溶血, 血液凝固
このページの一番上へ