アブストラクト(32巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : アカラシアに併存した食道癌の統計的観察
Subtitle : 原著
Authors : 嶺博之, 中村輝久, 河野仁志, 八板朗, 雷哲明, 東儀公哲, 金森弘明, 久保田博文, 増尾光樹
Authors(kana) :
Organization : 島根医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 12
Page : 2041-2048
Year/Month : 1984 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道疾患研究会員を対象とした全国アンケート「良性食道疾患に合併した食道癌」において, 139施設から回答のあった1,388例のアカラシア中, 食道癌の併存していたものは49例で癌併存率は3.5%であった. 詳細不明の1例を除く48例中, 既往にアカラシアの手術を受けたことのあるものが15例あったが, 今回は手術の影響を除外するために, 手術を受けたことのない33例について主に検討した. その結果, 1)男女比は19:14で, 年齢は56.5歳と一般の食道癌よりも若い傾向にあった. アカラシアの症状発現から癌発見までの期間は平均20年5ヵ月であった. 33例中3例はアカラシアの定期検査で偶然発見され, これらは比較的早期の癌であった. あとの30例における癌発見のきっかけは, 嚥下困難の増強が15例(50.0%)と最も多く, 胸痛・背痛の出現6例, 吐血5例などが主なものであった. 2)併存食道癌にはX線上, Iu(50.0%), 腫瘤型(37.5%)が多く, これは全国登録にみる一般食道癌にIm, らせん型が多くてIu(9.5%), 腫瘤型(11.0%)は少ないのと対照的であった. これには癌発生におけるアカラシアの病態の関与が推定された. 3)併存食道癌の切除率は60.6%, 治癒切除率は55.0%と一般の食道癌と変わりなかった. 切除20例中10例が生存中であり, 5年以上生存は4例と治療成績は良好である. 4)これに比べて既往にアカラシアの手術を受けたことのある15例では, 切除率は低く治療成績も不良であった. アカラシアに併存した食道癌に対しても一般食道癌と同様に, 積極的な切除が望まれる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : アカラシア, 食道癌, 良性食道疾患, アカラシア併存食道癌
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