アブストラクト(32巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺切除後の肺循環動態に関する検討 ―多変量データによる主成分分析の試み―
Subtitle : 原著
Authors : 柳沢正弘, 佐々木忠
Authors(kana) :
Organization : 東邦大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 12
Page : 2101-2109
Year/Month : 1984 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 27例の肺切除症例について, 多変量解析の中の主成分分析を用いて術後の肺循環動態の検討を行った. スワンガンツ・カテーテルにより, 術前, 術後1時間, 術後3時間, 術後12時間, 術後24時間までの各時期に, 肺動脈圧, 肺動脈楔入圧, 心拍出量を測定し, この3項目の測定値から, 心係数, 右心仕事量, 肺小動脈抵抗, 全肺血管抵抗を算出した. 項目別にその経時的変動をみると, 肺動脈圧, 右心仕事量, 肺小動脈抵抗, 全肺血管抵抗などは術後1時間では, 術前値に比較して有意に高い値を示し, 以後は次第に低下の傾向を示した. また肺動脈楔入圧及び心係数は術前術後の全経過において有意差を示さなかった. 主成分分析の結果についてみると, 術前及び術後の全経過にわたって, 第1主成分が肺循環動態の50%を占めており, その主な因子は肺動脈圧と全肺血管抵抗であった. また第2主成分は25%を占めており, その主な因子は, 心係数及び肺動脈楔入圧であった. 肺循環動態の75%は第1主成分と第2主成分で表すことができる. そしてそれら中で最も大きな因子は肺動脈圧であると考えられる. また個人得点をプロットすることにより得られる集中楕円から, 楕円外にプロットされた症例は合併症を生じている症例あるいは合併症の準備状態にある症例であった. 主成分分析を行うことによりダータ構造の解析と術後の予後予測をすることが可能であると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺切除後の肺循環, 主成分分析, 集中楕円, 因子負荷量, 判別率
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