Abstract : |
健康診断で偶然に発見された, 15歳男性の肺葉内肺分画症において, 左下葉切除を行い術中に異常動脈内の血流量を測定した. また, 術中に心拍出量の測定も行い, 異常動脈遮断の直接的影響を麻酔下安定状態において観察した. その結果, 異常動脈は腹部大動脈の腹腔動脈幹の高さから生じ, 径は6mmで流量は320ml/minであり, 同時測定された心拍出量の5.9%であった. また, 異常動脈遮断直後に心拍出量は5.43l/minから4.8l/minへと11%の減少を認めた. 本症例では左下葉はS6を除き, 肺底区全体にhoneycomb様の肺が認められ, 肺感染症の予防という面から手術適応が考えられるが, 無症状例でありながら心機能負荷の軽減という点からも手術適応が考えられるものといえる. 肺分画症は一般的には肺葉内肺分画症と肺葉外肺分画症に分けられ1), 主として発生学的な立場から興味が持たれてきた2)3). また, 肺葉内肺分画症において, 分画肺組織と正常肺組織の間に気管支の交通が存在する症例に対して感染予防, あるいは感染源の除去という目的で手術適応が考えられてきた4)5). |