アブストラクト(32巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部大動脈瘤手術前・術後における血液凝固学的異常 ―特にDICについて―
Subtitle : 症例
Authors : 川内基裕, 松本博志, 浅野献一, 上野明*
Authors(kana) :
Organization : 東京大学医学部胸部外科, *山梨医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 32
Number : 12
Page : 2131-2137
Year/Month : 1984 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 教室における胸部大動脈瘤術前症例14例(真性8例, 解離性6例), 人工血管移植術後症例8例, 胸部大動脈瘤にDICを合併した手術症例1例の計23例において血液凝固線溶系機能検査を行った. 胸部大動脈瘤術前症例では血小板凝集能の低下が高率(真性80%, 解離性100%)に合併した. 凝固線溶系因子活性の低下は9%の症例に認めた. 人工血管移植後遠隔期の症例では37.5%に血小板凝集能の低下が, 62.5%に血液凝固線溶系活性の低下が, 全例に毛細血管抵抗試験の陽性化が合併した. DICを合併した大動脈瘤の外科治療に当たり, 術前にDICの是正を行う際には, ヘパリンナトリウム並びに新鮮凍結血漿の投与が有効であった. 胸部大動脈瘤の外科治療において, 術中並びに術後の出血は予後を左右する重要な因子であり, 外科治療に際して大動脈瘤に出血性素因が合併することも報告されているが, その機序はいまだ明らかにされていない1)~12). 血管内凝固症候群(DIC)は敗血症, 火傷, 胎盤早期剥離, 悪性腫瘍などの種々の基礎疾患に合併する症候群であり, 頻度は少ないが, 巨大血管腫や各種の大動脈瘤, 血栓性静脈炎などの血管性病変や人工血管移植後にも合併することが報告されている13)~28).
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈瘤, 胸部大動脈瘤, 人工血管, DIC, 消費性凝固障害
このページの一番上へ