Abstract : |
A-Cバイパス術8例に対して術後急性期24時間の血行動態と心筋代謝の推移について検討した. 心拍数は人工心肺離脱後増加するが以後減少傾向を示した. 心係数は人工心肺離脱後一時増加するが3時間目に最低値となり, 以後増加して24時間目にはコントロールの1.2倍となった. 体血管抵抗係数, 肺血管抵抗係数は心肺離脱後3時間目に高値を示し, 以後減少して24時間目には正常値に回復した. 一回左室仕事係数は人工心肺離脱後6時間目まで低値を示したのち増加し, 24時間目には正常値に回復した. 冠静脈洞血流量は圧仕事の増加に伴って6時品目以後は増加傾向を示し, 24時間目にはコントロールの1.6倍となった. 動脈血乳酸値は人工心肺離脱後異常高値を示したのち低下傾向をたどり, 24時間目にはほぼ正常範囲に回復するが, なお術前より高値を示した. 乳酸摂取率は人工心肺離脱直後から著明に低下したのち増加傾向をたどり, 24時間目にはほぼ正常範囲に回復したが術前よりは高値にとどまった. A-Cバイパス術後には速やかな血行動態の回復にもかかわらず心筋代謝面からみるとなお十分な心機能の回復は得られておらず, 特に術中梗塞発生例や大動脈遮断時間延長例において明らかであり, 術中の十分な心筋保護や術中梗塞の防止とともに術後の注意深い患者管理が重要である. |