アブストラクト(33巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環の血液成分に及ぼす影響 ―三次元グラフ法による術後早期出血の分析―
Subtitle : 原著
Authors : 松倉裕美, 枝沢寛, 俣野順, 川上恒生, 菅原啓, 佐久間まこと, 安田慶秀, 酒井圭輔, 田辺達三, 村松宰*
Authors(kana) :
Organization : 北海道大学医学部第2外科, *北海道大学医療短期大学部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 1
Page : 58-66
Year/Month : 1985 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体外循環症例52例を対象とし, 術後12時間出血量と体外循環終了時血液成分の関係を相関係数及び三次元グラフ法により検討した. その結果次の結論を得た. (1)術後出血量は体外循環時間や低体温とは有意の相関をみず, 体外循環中の輸血及び輸液量が関与していた. (2)体外循環状況と入院時, 体外循環中及び体外循環終了後の血液成分とは有意の相関関係は得られず, 輸血及び輸液による血液成分の変化の程度と有意の相関がみられた. (3)三次元グラフ法による検討により体外循環終了時の各血液成分は相互に複雑に関係して術後12時間出血量を増加させていた. (4)輸血量増加によりヘモグロビン値が高値となるに従い出血量は増加した. (5)血小板数の減少が出血量増加の主因とは考えられなかった. (6)術後出血量との関係でみる限り, 血小板凝集能や血小板粘着能は血小板機能を反映しているとはいえなかった. (7)体外循環終了後のACTが正常である限り, 体外循環中使用したヘパリンは術後出血量と関係ないと考えられた. (8)体外循環中のフィブリノーゲンの減少は出血量の増加をもたらさなかった. (9)FDPとヘモグロビン値が共に高値を示す時術後出血量を増加させる特異な関係がみられた. (10)ヘモグロビン値が高値を示す時, AT-IIIは正常値又は異常低下を示した時術後出血量を増加させた. (11)血液成分の検討からは小回路無輸血体外循環が術後出血量を減少させると考えられた. (12)三次元グラフ法は情報量が増加し, 視覚化できるよい検討法であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, 術後出血, 輸血, 輸液, 三次元グラフ
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