| Authors ： |
安倍十三夫, 塚本勝, 田中利明, 木村希望, 泉山修, 星野豊, 浅井康文, 上田睦, 杉木健司, 小松作蔵 |
| Abstract ： |
今回, 我々は教室で経験した35例の両大血管右室起始症の手術成績を検討し, 最近, 本症に応用し, 良好な手術結果を得た術式とその問題点にについて報告した. 1. 本症の姑息手術として, 肺動脈狭窄(PS)に対し5種の異なった術式を用いたが吻合術を第一に選択すべきと考え, 肺高血圧(PH)を有する乳幼児例には, 肺動脈絞扼術(PAB)とballoon-atrioseptostomy(BAS)あるいはBlalock吻合術の併用を行い, 心内修復術は4～5歳まで待期して行う方針がよい. 2. 心内修復術は19例に行い, 手術時年齢4ヵ月～22歳(平均5.7歳)であり, SDD 16例, SDL 1例, SLL 1例, IDD 1例であった. 初回根治11例, 二期的根治8例(PS：5例, PH：3例)であり, PSを伴う症例は12例中(3例死亡)(25%), PH症例7例中4例死亡(57%)と高い死亡率を示した. 3. 病型別では, subaortic VSD+PS 8例(2), PH 4例(3), subpulmonic VSD+PS 1例(IDD), PH 3例(1), double committed VSD+PS 2例(SDL；SLL各1例), non-committed VSD+PS 1例であった. 4. 心内修復法として, 8種の異なった術式を用いたが, この成績はLV-AO buffle形成術5例(4), LV-AO buffle+漏斗部心筋切除4例(0), LV-AO buffle+右室流出路パッチ拡大4例(2), LV-AO buffle+external conduit法1例(1), Fontan変法2例(0), 右室内人工血管バイパス法1例, Senning手術+LV-PA buffle 1例, LV-PA buffle 1例(IDD)であった. 5. 手術法として, subaortic VSDではLV-AO buffle法が有効であるが, その他の病型に対して, Fontan変法, VSD-AOバイパス法, 心房内血流変換法の応用が可能で, 術後の手術成績の向上に寄与している. |
