Abstract : |
修正大血管転位症では房室錯位, 大血管転位, 冠動脈及び刺激伝導系の走行異常など特異な解剖学的異常が認められる. このため合併病変の外科治療に際して種々の到達法が報告されているが一定の結論をみるには至っていない. 我々は右胸心, 心室中隔欠損, 動脈側房室弁閉鎖不全, 卵円孔開存を伴った修正大血管転位症(Van Praagh分類{IDD}, Cardell分類B4)の男児例を経験した. 本症例に対し胸骨正中切開に右開胸を加え, 左房切開により心室中隔欠損孔閉鎖, 三尖弁置換術を施行し, 完全房室ブロック, 低心拍出量症候群の発生をみることもなく良好な結果を得たので文献的考察を加えて報告する. 修正大血管転位症(以下CTGAと略す)は房室錯位, 大血管転位を伴い, 正常な血行動態を示す比較的まれな先天性心疾患である. その多くは心室錯位を伴う母型で心房錯位を伴う病型は少なく, CTGAの5%といわれている. 今回我々は右胸心, 心室中隔欠損(VSD), 動脈側房室弁閉鎖不全(三尖弁閉鎖不全, TR), 卵円孔開存(PFO)を伴ったVan Praagh分類{IDD}, Cardell分類B4のCTGAを経験したので報告する. |