アブストラクト(33巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : RIアンジオグラフィーによる右室機能からみた僧帽弁狭窄症例の検討
Subtitle : 原著
Authors : 浅野孝治, 上原美朗, 佐々木成一郎, 畑沢幸雄, 小林哲, 杉山長毅, 荒木威, 原宏, 森透
Authors(kana) :
Organization : 鳥取大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 2
Page : 181-188
Year/Month : 1985 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁狭窄症における術後遠隔期血行動態を右心機能からRIアンジオグラフィーを用い検討した. 二次的三尖弁閉鎖不全症以外の他弁合併例を除く純型僧帽弁狭窄症30名を対象とした. RIアンジオグラフィーのMUGA法によって左右心室駆出率を求め他の血行動態諸値と比較した. 術前右室駆出率は安静時平均39.7±10.1%で運動負荷によって平均33.4±14.0%へ低下した. 外科治療によってこれが安静時平均40.0±9.1%, 運動時平均41.7±10.8%と有意(p<0.05)の改善を示した. 左室駆出率は術前後で差を認めなかった. 右室駆出率が運動負荷によって低下する群は, 不変あるいは上昇する群に比べてNYHA機能分類で重症で, 心拍出量も低値を示した. 右室駆出率と右室後負荷を形成する僧帽弁圧較差, 肺動脈楔入圧, 肺血管抵抗あるいは肺動脈圧との相関は認められなかった. Sellors病理分類と右室駆出率は関係がなかったが, 左室駆出率は弁下病変が高度なほど低値を示した. Sellors III型直視下交連切開術に比し僧帽弁置換術は左室駆出率が良かった. 安静時左室駆出率と右室駆出率とは相関がなかったが, 運動時左室駆出率は安静時右室駆出率と(r=0.621, p<0.01), 負荷時右室駆出率と(r=0.690, p<0.01)の相関を認めた. 更に心室壁運動の均一性を示す位相解析標準偏差は右室駆出率と相関を示した(r=-0.668, p<0.01). しかし左室では相関がなかった. 以上より僧帽弁狭窄症開心術後の心予備力には右心機能が重要な役割を果たしており右室拡大による壁収縮の異常が右室駆出率の低下の原因と推定された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁狭窄症, RIアンジオグラフィー, 右室機能, 開心術後, 心予備力
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