Authors : |
佐野俊二, 横田祥夫, 節家直巳, 岡本文雄, 三宅俊治, 清田芳春, 藤原慶一, 中本進, 槇野征一郎, 村口和彦* |
Abstract : |
肺動脈分枝狭窄症は肺動脈幹, 又はそれより末梢の左右肺動脈に狭窄を有する比較的まれな疾患である. 今回我々は13例の本症に対し外科的修復を加え, 病型, 術式別に検討を行った. 13例の内訳はGayの分類によるType IA 1例, IB 3例, IC 6例, IIA 2例, IIB 1例である. また合併心奇形としてファロー四徴症6例, 動脈管開存症4例, 卵円孔開存症3例, 心室中隔欠損症2例, 肺動脈狭窄症2例, 心房中隔欠損症, 肺動脈弁欠損症, Discrete型大動脈弁狭窄症, 偽総動脈幹症を各1例に認めた. なお他に心奇形を合併しない純型肺動脈分枝狭窄症は1例のみであった. 手術術式は13例中10例に各種パッチによる狭窄部解除を行った. すなわち自家心膜パッチを4例に, PTFE(Gore-tex)graftパッチ及びDacron graftパッチを各々3例に使用した. パッチによる狭窄部解除以外にも心内膜突出物を認めた2例に対し, 突出物切除と心膜縫合を行い, 残り1例は主肺動脈から右肺動脈にDacron graftを用いたextraanatomic bypassを行った. 狭窄部を介する圧差は術前平均30mmHgから平均15mmHgへと右室/体血圧比は0.94から0.55へとそれぞ著明に改善したが, 自家心膜パッチによる狭窄部解除を行った1例では術後1ヵ月時の心カテ, アンギオ検査にて心膜パッチの変形, 退縮による圧差の残存を認めた. 肺動脈分枝狭窄症の狭窄部解除にはPTFE又は, Dacron graftパッチが有用であるが, パッチによる狭窄部解除以外にも狭窄部内膜切除あるいは主肺動脈より狭窄後肺動脈へのextraanatomic bypass graftも有用であった. 以上を含む各種術式に応じて適用すべきであろうと思われる. |