Abstract : |
近年, 心筋局所冷却(TC)併用, 間歇的心筋保護液冠灌流法による心筋保護法の進歩は著しいが, いまだ心筋保護液(CPS)の組成に関しては統一された見解を認めない. カリウム―CPSにおける至適カリウム濃度はカリウム以外の条件, すなわち心筋温, カルシウム濃度など他のイオン組成, 浸透圧, 投与方法, 投与量などに影響されるものと思うが本稿では他のイオン組成の影響を受けないGIK-CPS組成における至適カリウム濃度に関して臨床的検討を加えた. 使用したGIK-CPSのカリウム濃度によりA群(K+-20mEq/l群)37例, B群(K-30mEq/l群)34例及びC群(K+-40mEq/l群)26例に分類した. 心筋保護効果の判定は経時的に測定した血清CPK, MB-CPKアイソザイム, GOT, HBD, LDHの各最高値及びMB-CPKアイソザイム総遊出量を心筋損傷の指標とした. カリウム濃度20mEq/l群に比較し30mEq/l群, 40mEq/l群で血清酵素値は有意に低値を示していた. 30mEq/l群と40mEq/l群間には有意差を認めず30mEq/l以上のカリウム濃度は不用と思われた. 従ってGIK-CPSの至適カリウム濃度は30mEq/lと示唆された. |