アブストラクト(33巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 新生児期, 乳児期早期における大動脈縮窄複合の外科治療
Subtitle : 原著
Authors : 岸本英文, 八木原俊克, 澤芳樹, 中田健, 広瀬修*, 信貴邦夫*, 岡憲史**, 大竹重彰***, 松田暉***
Authors(kana) :
Organization : 大阪府立母子保健総合医療センター心臓外科, *大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科, **大阪府立母子保健総合医療センター麻酔科, ***大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 2
Page : 229-236
Year/Month : 1985 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 新生児, 乳児期早期発症の大動脈縮窄複合6例に対する外科治療経験より, 本症に対する治療成績向上のための因子につき検討した. 心不全症状発現の時期は生後3~33日(平均15日)で, 入院時年齢は9~46日(平均21日)であった. 入院後直ちに断層心エコー検査を行った. 複雑心奇形の合併が疑われた2例には, 心臓カテーテル検査並びに心血管造影検査を行ったが, 他の4例には左上肢末梢動脈より造影剤を注入して逆行性大動脈撮影を行い, 縮窄部の形成の確認を行った. 全例が動脈管開存と心室中隔欠損を合併しており, 1例はKeith分類Icの三尖弁閉鎖を, 他の1例は大動脈弁狭窄と大動脈の騎乗を認めた. また断層心エコー上左室流出路狭窄が6例中4例にみられた. 術前プロスタグランディンE1の投与を行い, 状態の改善を待って入院より2~7日(平均4日)後に, 準緊急的に第一期手術として動脈管の結紮又は離断と鎖骨下動脈フラップ法による大動脈縮窄部の再建を行った. 複雑心奇形の合併が疑われた2例に肺動脈絞扼術を追加した. 初回手術時年齢は12~49日(平均25日)で, 手術時の体重は1,840~4,100gであった. ジギタリス中毒による心室細動を来した未熟児の1例を失った. 生存5例中3例に対し, それぞれ4ヵ月(初回手術より3ヵ月後), 38日(15日後), 54日(5日後)に心室中隔欠損の閉鎖を行った. 乳児期早期に手術を施行した2例では, 胸骨の2期的閉鎖を必要とし術後管理に難渋したが, ノルアドレナリンの投与が体血圧の上昇, 左室大動脈収縮期圧較差の減少に有効であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈縮窄複合, 鎖骨下動脈フラップ法, 二期的根治手術, 左室流出路狭窄, 逆行性大動脈撮影
このページの一番上へ