Abstract : |
1977年3月より1983年11月までにチアノーゼ性心疾患30例に対してEPTFE graftを用いた体肺動脈短絡術を行ったので報告する. 手術時年齢は11日より11歳(平均2歳7ヵ月)で, 男児15例, 女児15例であった. 対象心奇形はファロー四徴症14例, 純型肺動脈閉鎖症5例, 単心室群3例, 他の複雑心奇形8例であった. 術式は上行大動脈-肺動脈間短絡5例, 鎖骨下動脈-肺動脈間短絡(modified Blalock Taussig手術)25例で, graftの径は4mmが11例, 5mmが11例, 6mmが8例であった. 病院死亡は7例(23.3%)で, 5例は術中ないしは術後早期に死亡し, いずれも原疾患が複雑, 且つ重篤な症例であった. 他の2例は過剰な短絡量により呼吸器合併症, 心不全を来し死亡した. 術後早期のgraft閉塞は1例のみであった. 術後急性期を生存した23例は, 臨床症状とともに動脈血酸素飽和度とヘモグロビン値の改善をみた. 術後経過観察期間は3ヵ月より3年7ヵ月にわたり, この間のgraft閉塞は2例で, 開存率は91.3%であった. ファロー四徴症の1例で二期的に根治術を施行した. EPTFE graftは十分な開存性が期待でき, 体肺動脈短絡術に有用なgraftであるが, 適切な流量を得るためにgraftの径の選択が重要である. |