アブストラクト(33巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 一側自然気胸に対する両側同時開胸術 ―特に, 対側気胸発症率からみた手術適応について―
Subtitle : 原著
Authors : 池田道昭, 宇野顕, 菅間敬治, 谷田達男, 萩原昇
Authors(kana) :
Organization : いわき市立総合磐城共立病院呼吸器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 3
Page : 277-282
Year/Month : 1985 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 自然気胸の原因であるブラ・ブレブは両側肺に存在することが多いことから, 我々は, 一側自然気胸患者に対し胸骨縦切開による両側同時開胸術を行い, 気胸側とともに対側肺のブラ・ブレブ(以下, ブラと略)を検索切除し良好な成績を得た. 症例は16歳から68歳までの22症例である. 術前の胸部X線写真で, 対側肺にブラを識別できなかった症例は10例であったが, このうち8例(80%)では, 手術時対側にもブラが認められた. 術中出血量は平均231mlであった. 術後の肺機能については, 術後1ヵ月以降に検査を行った17例のうち, 16例で%肺活量は80%以上に回復し, 両側開胸に基づく肺機能の低下はほとんど認められなかった. 一側自然気胸に対する両側同時開胸術の適応を明らかにするために, 一側気胸患者の経過を追跡調査し, その将来における対側気胸発症率を検討した. 対象は, 一側自然気胸で初発時に来院し, 3年以上経過観察できた99例である. その結果, 10歳台の一側気胸初発例では, 対側気胸発症率は50%で, 22例中11例が対側に発症したが, このうち, 胸部X線写真で対側にブラを認めた症例では, 対側発症率は62.5%(8例中5例)と高率であった. 20歳台では, 対側気胸発症率は20%(25例中5例)で, このうち, 対側にブラを認めた症例の対側発症率は37.5%(8例中3例)であった. 30歳台以上では, 対側気胸発症率は9.6%(52例中5例)と低率であった. 従って, 両側同時開胸術の適応としては, 10歳台の一側気胸例及び対側にブラを認める20歳台の一側例をあげたが, 特に, 10歳台で対側にブラを認める症例では, 両側同時手術が必要と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 一側気胸の両側手術, 両側同時開胸術, 対側気胸発症率, 術後対側気胸
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