アブストラクト(33巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左室機能形態よりみた代用弁の選択
Subtitle : 原著
Authors : 江郷洋一, 川副浩平, 小原邦義, 冨野哲夫, 藤田毅, 曲直部寿夫
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 3
Page : 283-290
Year/Month : 1985 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 代用弁臨床応用の当初から代用弁のサイズと左室内腔や大動脈基部の大きさの間の不適合に起因する諸問題が指摘されてきた. それらは閉塞, 狭窄など, 血行動態上の問題と, 心筋や大動脈壁への接触刺激という問題とに大別できる. 我々は僧帽弁位において, 生体弁のステント長と左室流出路径との間の不適合を検討し, LOS, 不整脈, 死亡原因など, 過大な代用弁を使用した際の諸問題を分析した. 断層心エコー図法を用いて左室流出路径を測定し, 左室機能形態上代用弁が過大となる病態を考えた. すなわち, A)巨大左房, B)狭少な左室腔に合併した右室の容量負荷, 圧負荷による心室中隔の偏位, 突出, C)心室中隔の肥厚, の3群である. 巨大左房例では左房縫縮術を行わなかった例にLOSや致死性不整脈が多く発生した. 巨大左房では左室への流入血流は心尖に向かわず心室中隔に向かうことが特徴的で心機能に悪影響を与えている. 更に左室後壁が圧排され心室中隔に近づくため左室流出路は狭少となり生体弁のステントは心室中隔に接触しやすい状態にある. このため左房縫縮術の行い得ない状態の巨大左房例に対してはlow profileの機械弁の使用が望ましい. B群では, 生体弁などの占有容積の大きい代用弁を用いると左室破裂やLOS, 難治性不整脈の原因となる例がある. 同様なことはC群にもいえることである. このように左室流出路径などの左室機能形態を計測し, 代用弁選択の1つのパラメーターとすることは術前評価の上で重要なことであると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 代用弁, 超音波断層心エコー図, Valve prosthesis-Patient mismatch, 巨大左房, 左房縫縮術
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