Authors : |
岡村高雄*, 天野純*, 忍滑谷通夫, 小関雅義, 渡部幹夫, 弘岡泰正, 大瀬良雄, 砂盛誠*, 田中淳, 鈴木章夫* |
Abstract : |
成人開心術約700例中, 術後LOSに陥った51例に対してIABPを使用し, IABPよりの離脱基準を十分なる血行動態の安定及び12時間ごとの補助比率の減少を基本として, (1)治療成績, (2)IABP使用時間と合併症の発生頻度, (3)IABPと心筋保護薬剤lidocaine, coenzymeQ10, aprotininの併用効果について検討をした. 術前shock例6例中5例(83%), 人工心肺離脱困難例26例中22例(85%), 術後LOS例19例中16例(84%)がLOSより離脱し得た. 病院死は2例(4%)にとどまり, IABP離脱後pump failureの再発に起因する死亡は認められず, 術前shock例, 人工心肺離脱困難例, 術後LOS例の長期生存率は平均39.2ヵ月のfollow upにてそれぞれ67%, 77%, 79%であり, 平均76%と優れた結果となった. IABPの使用期間は平均5.3日と長期に及んだが, 合併症は3例(7%)に認めたに過ぎず, また使用期間と合併症発生頻度との間には相関関係は存在しなかった. IABPと薬剤併用群とIABP単独使用群との間には術前の心機能, 心筋障害の程度はほぼ同一であったにもかかわらず, IABP単独群では77%(21/30)がLOSより離脱し得たのに対し, IABPと薬剤併用群では1例の不能例を認めるのみで95%(20/21)にてLOSより離脱し得た. 以上より, (1)IABP離脱基準を厳しくすることは治療成績の向上に寄与する. (2)長期間のIABP使用は合併症の発生頻度を増大させず, 使用期間はIABP使用時の阻害因子と考える必要はない. (3)IABPとlidocaine, coenzymeQ10, aprotininの併用はLOSの治療にIABP単独よりも有効であると結論した. |