アブストラクト(33巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冠血管抵抗による心筋保護の評価
Subtitle : 原著
Authors : 斉藤裕, 川筋道雄, 笠原善郎, 吉田政之, 羽柴厚, 大平政人, 飯田茂穂, 岩喬
Authors(kana) :
Organization : 金沢大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 3
Page : 298-303
Year/Month : 1985 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈遮断下心筋保護液による心停止時の冠血管抵抗を臨床例60例にて測定した. これについて疾患別の差異, 術中の変化及び術後CPK値との相関を調べ, 心筋保護の評価に役立つかどうか検討を行った. 対象の内訳はWPW症候群29例, 虚血性心疾患17例, 僧帽弁疾患14例である. なお虚血性心疾患群には, 麻酔導入時からニトログリセリンの点滴静注を行った. 冠血管抵抗の測定は, 心筋保護液注入時の大動脈基部圧を毎分流量で除して求め, 約30分ごとの心筋保護液注入時に行った. 対照と考えたWPW症候群症例の初回抵抗は198±34mmHg/l/minで他の2群との間に有意差を認めなかった. 虚血性心疾患群の病変枝数別の抵抗にも有意差はなかった. また各群の平均値でみた抵抗の術中変化は少なかった. 各群の心筋保護液使用回数別の小群で, それぞれ測定された抵抗と術後CPK最高値との相関係数(r)を算出し検定した. 心筋保護液を2回使用したうちの4つの小群において有意の相関関係が得られた. 以上のことから冠血管抵抗の測定は, 大動脈遮断時間60分程度の症例で, 術中心筋保護の目安として利用できるものと考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠血管抵抗, 心筋保護, 冠灌流冷却法, 心筋虚血, 心筋浮腫
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