アブストラクト(33巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : A-Cバイパス術後運動負荷時の心機能及び冠血流量の検討 ―左冠動脈完全血行再建術の成否が及ぼす影響について―
Subtitle : 原著
Authors : 榊原哲夫, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 3
Page : 353-365
Year/Month : 1985 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 左冠動脈完全血行再建術成功例15例(G-1)と, それが不成功に終わった10例(G-2)に対して, その術後心臓カテーテル検査時に, 50W 5分の運動負荷を施行し, 心機能を示す指標と冠状静脈洞血流量(CSF)を測定し, 対照例8例(G-C)と比較検討した. その結果, 以下のことが明らかとなった. 1. 術後運動負荷時の左室拡張末期圧は, G-2(29±7mmHg)は, G-1(21±7mmHg)に比べ, G-1はG-C(14±3mmHg)に比べ有意に高値を示した(p<0.01, p<0.01). 2. 術後運動負荷時の左室1分間仕事量(LVMW)は, G-2(9.6±2.3kg・M/min)において, G-1(13.3±3.4kg・M/min), G-C(14.0±3.8kg・M/min)に比べ, 有意に低値を示した(p<0.01, p<0.01). 3. 術後運動負荷時のCSFは, G-2(191±61ml/min)において, G-1(320±78ml/min), G-C(309±106ml/min)に比べ有意に低値を示した(p<0.005, p<0.05). 4. CSFと左室心筋酸素消費量のそれぞれの運動負荷による増加率の間, 及び左室心筋酸素消費量とLVMWのそれぞれの運動負荷による増加率の間には, r=0.87(p<0.001), r=0.67(p<0.001)で, 正の直線相関が存在した. 5. 以上の検討の結果, 左冠動脈完全血行再建術成功例においては, 不成功例に比べ有意に良好な運動負荷時左室機能を有するとともに, 運動負荷に対する冠血流量の増加率は, 有意に高値を示すこと, 及び両群の運動負荷時の左室機能の差は, 運動負荷による冠血流量の増加率の差に原因するものであることが明らかとなった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : A-Cバイパス術, 心機能, 冠血流量, 運動負荷, 左冠動脈完全血行再建術
このページの一番上へ