アブストラクト(33巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 卵円孔より右房側に発育を示した多発性左房粘液腫の1例
Subtitle : 症例
Authors : 岡良積, 宮本巍, 青木啓一, 北井公二, 小浜正博, 山本忠生*
Authors(kana) :
Organization : 兵庫医科大学胸部外科, *兵庫医科大学第1内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 3
Page : 369-373
Year/Month : 1985 / 3
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は20歳女性, 左房粘液腫の診断で手術を行うと, 左房内には6×7×3cm大, 重さ70gの腫瘍が卵円窩部に付着しており, 且つ卵円孔を通じて右房側にもその一部が発育していた. 更にこの腫瘍とは別に小豆大の腫瘍が左房内に2ヵ所付着していた. 手術は腫瘍を摘出するとともに付着部の心房中隔を大きく切除してパッチ縫合閉鎖した. 他の2ヵ所の腫瘍も切除した. 組織学的にはいずれも粘液腫であった. 術後1年半の現在再発はみられていない. 本例は左房内移植と思われる多発性発生を有し, 且つ両心房粘液腫ともいえるまれな症例であるので報告した. 本疾患の手術に際しては, 左房内のみならず右房側も精査することが重要で, 切除方法としては卵円窩を含む付着部心房中隔の切除が再発防止に必要である. 近年, 超音波心臓検査(UCG)の発達に伴い, 左房粘液腫の診断が容易になり, 多くの手術治験例が報告されるようになった1)~3). しかし本疾患は多発性の発生, 再発, 転移などの点において, なお未解決の問題点を有している.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左房粘液腫, 両心房粘液腫, 多発性発生, 移植, 再発
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