アブストラクト(33巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : コンピューター解析による左室局所壁運動よりみた僧帽弁狭窄症手術術式の検討
Subtitle : 原著
Authors : 橋本和弘, 松井道彦, 堀越茂樹, 鈴木茂, 小机敏昭, 佐々木達海, 中村譲, 宮沢総介, 古川仁, 新井達太
Authors(kana) :
Organization : 東京慈恵会医科大学心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 4
Page : 410-416
Year/Month : 1985 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 直視下僧帽弁交連切開術(OMC), 僧帽弁置換術(MVR)を行った純型僧帽弁狭窄症(MS)20例について, 術前後の左室局所壁運動をコンピューターを用い, 左室造影シネフィルムより定量的に解析した. 手術時における僧帽弁の性状をSellors分類に準じて3群に分け, OMC, MVRの手術適応を術後左心機能の面から検討した. OMCはSellors I型群(4例)には交連切開のみ, II型群(6例), III型群(5例)には積極的に腱索・乳頭筋切開を加えた. 更にIII型群(5例)にMVRを施行した. (1)MSにおける左室局所壁運動の低下は, すべての分画に認められた. その低下は弁下狭窄を伴うSellors II・III型群にて特に著明であった. (2)OMC後の局所壁運動は, Sellors I型群では術前とさほど変わらず比較的良好であった. II型群では全分画に有意な改善が認められ(p<0.01), 特にAnterolateral, Apical, Posterobasalにての改善度は著明であった. しかしながら, III型では全く改善が認められず, 術前同様低値にとどまった. 一方, III型でMVRを行った群では全分画に有意な改善が認められ(p<0.05~0.01), その改善度は各分画ほぼ均一であった. (3)術前後の局所壁運動の変化より, MSにおける術前左心機能(局所壁運動)の低下の一因として, 弁・弁下狭窄(rigid mitral valve complex)の関与が示唆された. (4)Sellors I・II型群に対するOMCは, 比較的十分な狭窄解除が期待でき, 特にII型群においては術前低下していた局所壁運動の改善に有効であった. Sellors III型群においてはOMC後, 局所壁運動の改善は認められず, 十分な狭窄解除が得られなかったと考えられた. しかし, MVR群では弁及び弁下組織を切除したため, 壁運動の改善が認められた. 術後左心機能の面より考えると, III型症例においてはMVRが選択されるべき術式と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁狭窄症, 直視下僧帽弁交連切開術, 僧帽弁置換術, 左室局所壁運動
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