Abstract : |
遠心ポンプ(Bio-Pump)を用いた, 定常流による両心バイパスを, 雑種成犬13頭に行い, 最大バイパス時の, 正常心, 左心不全心, 心室細動心に対する心補助効果について, 血行動態・心筋代謝の面より検討した. バイパス方法は, 左房出血-大動脈送血, 右房・右室脱血-肺動脈送血を用いた. 正常心に対するバイパスでは, MVO2減少率24.3%, LV Max. dp/dt減少率45.1%, TTI減少率は右室が66.3%, 左室が28.8%であった. 左心不全心に対しては, MVO2減少率14.5%, LV Max. dp/dt減少率30.8%, TTI減少率は右室が62.7%, 左室が22.4%であった. 血行動態的には, 左心バイパス単独の場合と同等の左心補助効果であった. 心筋代謝の上でも, 正常心・左心不全心いずれの場合も十分心補助効果が認められた. 但し, 心室細動心に対しては循環を維持するのが困難であり, 拍動状態の不全心に対しては, このバイパスシステムも臨床応用は十分可能であるが, バイパスより離脱し得ず心室細動に陥ったときのことも考えるならば, 更にカニュレーションなどにシステムの改良の余地があると考える. |