アブストラクト(33巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 純型肺動脈閉鎖症における肺動脈裂開術の右室容積発育に及ぼす効果
Subtitle : 原著
Authors : 中江世明, 今井康晴, 中沢誠*, 東舘雅文, 河田政明, 高梨吉則, 高尾篤良*
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所外科, *東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 4
Page : 427-433
Year/Month : 1985 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 純型肺動脈閉鎖症(PPA)の6例の肺動脈裂開術(valvotomy)後遠隔期の右室容積発育を検討した. 対象例の手術時年齢は, 生後14日~3歳であった. 経過観察期間は, 術後1~6年(平均3.3年)である. 手術は, 3例はvalvotomyのみを行い, 他の3例には, systemic-pulmonary shunt手術を同時に行った. 術前のRVEDVIは, 10.8~25ml/m2(16.7±5.0ml/m2)であり, これは正常期待値の22~54RVEDV%Nに相当した. 術前のRVEDVIが10.8~15.5ml/m2(平均13.3ml/m2)で, 22~27RVEDV%N(平均25.2RVEDV%N)の4例は, 術後のRVEDVIは, 11.7~24.6ml/m2(平均17.2ml/m2)であり, 18~44RVEDV%Nと右室容積の発育は認めなかった. 術前に54及び50RVEDV%Nを示した2例が, 術後, 79及び123RVEDV%Nへと増加傾向を認めたが, この2例とも, 右室流出路再建術を後に必要とした. 術前, 高度の三尖弁逆流があり, 旦つ, 50RVEDV%N以上の2例の三尖弁輪径(TVD)は, 6.4及び7.9cm/m2であったが, 30RVEDV%N以下と極めて小さい右室をもつ症例のTVDは, 平均3.5cm/m2と, 狭小であった. 術後のTVDは, 右室容積が発育傾向を示した例も含めて十分な発育を示さなかった. 術後RVEDVIとinlet-length/outlet-length比の間に有意な関係がなかった. PPAの右室はvalvotomyでは十分な発育を期待できない例が多く, 術前の右室形態に規定される例が多い. このため, 新生児例にvavotomyを選択する場合は, 右室の構築の分析を行い, riskの高い患児にはsystemic-pulmonary shunt手術を優先させる必要がある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 純型肺動脈閉鎖症, valvotomy, 右室容積発育, 三尖弁輪径, 右室造影
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