Authors : |
斉藤裕, 麻柄達夫, 笠原善郎, 辻口大, 青山剛和, 遠藤将光, 飯田茂穂, 大平政人, 岩喬 |
Abstract : |
連合弁膜症症例で三尖弁閉鎖不全(TR)を合併した52例を対象に, 術後平均5.1年の経過観察から, 三尖弁手術の検討をした. TRを放置した4例の成績は不良で, 残る48例のTRに対し三尖弁手術を行った. 術式は, TRが重症のものにCarpentier法を29例, 軽症のものにはDe Vega法を12例, Bex法2例に, 狭窄などの器質的変化の強い5例には弁置換術をそれぞれ施行した. 早期死亡は5例, 晩期死亡は1例であったが, 三尖弁手術が直接死因に結びついたものはなかった. 三尖弁には全例弁輪拡大を認めたが, 27%には器質的変化も有していた. NYHA機能分類及び心胸郭比はいずれの群でも改善を認めた. しかし右房v波圧ではCarpentier群で術前14.4mmHgから術後8.8mmHgへと有意の改善を来したのに対し, De Vega法では軽症例を対象としたにもかかわらず, 改善を認めなかった. 三尖弁置換例には術後超音波パルスドップラー法を用いて経過観察を行っているが, 逆流を認めていない. 術前右房v波圧は肺動脈楔入圧に相関していたが, Carpentier法による右房v波の改善は肺動脈楔入圧改善に相関せず, Carpentier法自身の独立した効果と考えられた. 以上のことから二次的TRに対し, Carpentier法が最も確実な効果を期待できるものと考えられた. また弁置換は, 狭窄などの器質的変化の強い場合に限られるべきであろう. |